改めてJICAボランティア事業について基礎知識をおさらいします。
JICAボランティアとは日本政府のODA(政府開発援助)事業の一環で、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施しています。自分が持っている知識や経験を途上国の経済・社会の発展に役立てたいという意志をもった人を募集・選考をして、一定の訓練を経て現地へ派遣する制度です。
現地の人々と共に生活し、同じものを食べて、現地の言葉を話して相互理解を図りながら彼らの自助努力を促進する草の根レベルのボランティアです。
応募できる職種は120種類以上におよび、国・地域づくりにかかわる計画、行政分野、生活サービスにかかわる公共・公益分野、食べ物や自然にかかわる農林水産分野、ものづくりにかかわる鉱工業分野、エネルギーにかかわるエネルギー分野、マーケティングや観光に関わる商業・観光分野、教育やスポーツなど人を育てる人的資源分野、いのちに寄り添う保健・医療分野、福祉にかかわる社会福祉分野の9分野があります。
派遣される地域はアジア、中南米、アフリカ、中近東、オセアニアなどです。応募する際に自分で選択できるのは、職種だけであり地域を指定することはできません。あくまで自分が持っている知識・経験と途上国からの要請がマッチングすれば派遣されます。職種によっては募集枠が80以上にもなりますので、どの枠で派遣されるかは合格するまでわかりません。
ボランティア事業ではありますが、現地生活費、住居費、往復渡航費、現地業務費などが活動をスムーズに行うために支給されます。これとは別にボランティアの状況により派遣中に必要な支出を補うための国内手当もあります。
(短期ボランティアもありますが)基本的に任期は2年間と決まっています。これを長いと受け取るか、短いと受け取るかは人によると思います。
本格的に途上国のために国際協力活動を行うには2年という期間は短すぎます。現地調査をして課題を抽出し、解決策を考えて実行して、成果がでているかモニタリングをして、足りない部分の改善策を再度構築して結果が表れるまで実行する。これを2年間という限られた期間で、開発協力分野の経験がない素人が実行できるかというと正直疑問です。
もしくは、あくまでこれはボランティア事業であり、利益や成果を求められるビジネスとは違うから2年間も行く必要があるのかという考え方もあります。実際、この活動期間中にJICAへ活動報告書を提出する義務はありますが、フィードバックがあるわけでも評定をうけるわけでもありません。
結局は応募したい人の動機によると思います。途上国のために何か活動したい意志を持った方にはこれほど適した制度はないでしょうし、海外経験を積むといった意味でも手当をもらいながら現地で活動できるわけですから、経済的な負担がない素晴らしい制度といえます。
よく問題に挙げられるのは、帰国後の進路です。最近では少しずつ変わってきていると思いますが、民間でこの2年間のボランティア経験を評価してくれる日本企業はまだまだ少なく、派遣される前に帰国後の進路についてもある程度考えておく必要があります。高度な専門分野での業務経験があると、選考時にアピールできますし、帰国後の就職を考えたときにも会社から評価されます。
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